格闘技 blog

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RIZIN.18 堀口恭司選手 《試合後のインタビューの内容も覚えていない...》

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試合後の会見で「全然、覚えていないんで。ただ負けたことが凄く悔しいので、すぐにでも再戦したいなと思っています朝倉の印象? 覚えていなんでわかんないですね」と言った。
 心なしか、まだ目が泳いでいるようだった。右のカウンターをもらった直後から控室に戻るまでの記憶が飛んでしまった。

 空手時代に「2、3度経験した」が、総合格闘家となって初の出来事だという。
「(カウンターは)想定内ですが、食らっちゃいましたね。でも、くよくよしてもしょうがない。前向きに、もう1回、今度は、ベルトをかけてダイレクトで(再戦を)やりたい。これで格闘技ももっと盛り上がると思う。またいちから強くなろうという感じです」

 実は、堀口には、ジャイキリを許す“予兆”があった。
 榊原・実行委員長が明かしたが、これまでオファーを一度として断ったことのない堀口が今回の朝倉海戦を一度は、「やる意味が見つけられない」と断ってきたという。
 RIZIN、ベラトールの日米2冠が、メジャー団体とは言えないアウトサイダー出身の朝倉海を相手に勝ったとしても当たり前と見られるだけ。逆に朝倉兄弟は、兄の未来が「RIZIN.17」で矢地祐介(29、KRAZY BEE)に判定で圧勝するなど、勢いに乗っていて、しかも、豊橋出身の朝倉にとって地元のホームリングという追い風もある。
 だが、今回予定していた堀口の他の対戦相手候補は、この日、登場したDEEPのバンタム級王者で、バンタム四天王の一人、元谷友貴(29)を破っているビクター・ヘンリー(32、米国)くらいしかいず、外国人選手となると一般のファンにはピンとこない。

「やる意味のある選手が今、他に誰がいる? 契約的に問題のない選手はいるのか? 朝倉はRIZINで4連勝中だし、地元名古屋出身。日本格闘技を盛り上げるというテーマにはふさわしい選手だと思う」と、榊原実行委員長が説得すると、30分後に「受けます」と連絡があったという。「日本の格闘界が盛り上がるなら」の消去法で受けた相手に高いモチベーションを維持するのには無理があった。
「ベラトールで勝ってほっとしたのかも」とも榊原実行委員長は推測した。
 朝倉とは、戦う理由に大きな差があったのかもしれない。

 加えて肉体面のコンディションも良くはなかった。
 試合後、そのことについて聞かれ、堀口は「ちょこちょこありますけど、そんなことを言ってもしょうがない。負けは負けです」と、言い訳を一切口にしなかった。
 だが、実際のところ、その小さな肉体はボロボロだった。慢性的な腰痛に加え、オーバーワークの悪影響がずっと付きまとっていた。
チーフトレーナーのマイク・ブラウンは、ベラトールで王者になった試合も含めて、ここ数試合で「50パーセントも力が出せていない」とずっと心配していたという。
 今回、堀口は7月28日の「RIZIN.17」でリング上で2本のベルトを肩に凱旋報告する必要があり、いつもより1週間早く「アメリカントップチーム」での米国合宿を切り上げたが、マイク・ブラウンは、堀口陣営に「練習をやりすぎるな」「休養をしっかり取れ」「体のケアを怠るな」の3箇条を守ることを執拗に伝えてきたという。

堀口は再戦を要求した。
 朝倉も、同じく再戦という言葉を口にした。
「勝ってもメリットのない対戦を受けてくれた堀口さんに一番感謝しなければならない。もう一回戦うのが筋だと思うので、次大晦日にベルトをかけて戦ってほしいです」

 だが、「何も覚えていない」というダメージは実は深刻である。
 榊原実行委員長は、会見を終えた堀口と会ったが、堀口は試合の内容どころか、つい今記者会見で話したことも覚えていなかったという。しかも、肉体的にリフレッシュしなければならないという現状がある。再戦でモチベーションは高くなるが、そこに肉体がついていくかどうかの不安もある。

 榊原実行委員長も「まず休むことが必要。ドクターチェックして、体の部分でダメージが残っていないこと」を条件に「10月でも12月でも」と早ければ、10月12日に大阪で行われる「RIZIN.19」、遅くとも年末の12月29日、31日に予定している「RIZIN.20」「RIZIN.21」で堀口vs朝倉の再戦をRIZINバンタム級のベルトをかけて行う考えを示した。